第8章 英語で仕事を進展させる 【3/4】

いくら英語ができても、仕事が進まなければ意味がない…

 

  

 上の例文は、あるプロジェクトの進捗具合の認識を一致させることが目的の文書です。こうした形のコミュニケーションは、行っている仕事において何らかの区切りがついたときに用いるのに適しています。それに対し下の表現は、第5章のセルフ・ポジショニングの築き方でご紹介しました方法で、ベクトル合わせについての問いかけをEメール文書の「決まり文句」に活用し、常に先方に注意を促します。

  

 

  ■ Please let me know if there are any issues that could have

    impacts on our planned activities.

 

  ■ If you have any ideas to improve our projects to better meet

    our schedule, please let me know.

 

 認識の一致を図る「決まり文句」はこれ以外にも多数考えられます。重要なことは海外のパートナーと行う仕事は、目的や現状の確認など、仕事を進捗させる上で認識を一致させておかなければならない事柄を小まめに確認することです。

 

 

8.4. 小まめな気配りとコミュニケーション

 

 言語や文化が異なる人たちと仕事を進める場合、お互いに対する理解度の低さから生まれる不信感や警戒心については、これまで何度もお話ししてきました。海外の人たちとビジネスリレーションシップを構築していくときは、潜在的に存在する不信感や警戒心のおかげで時間を要しますが、崩れるときはあっという間に崩れてしまうものです。また、関係が悪化するときは、全く思いもよらないことが原因になるものです。

 

 海の向こうの仕事相手は、ただでさえ警戒心を抱いているわけですから、ちょっとした情報のずれや矛盾にも敏感に反応してしまいます。仕事をスムースに進展させるには、小まめな気配りとコミュニケーションが重要になるのです。

 

 例えば、あなたが今週の水曜日の午後までに返答するといった情報を、期限が過ぎても返答していなかったとします。伝える情報がどんなに些細なことでも、海外の企業や人が相手の場合、相手が持つあなたに対する不信感は大きくなってしまいます。もちろんこれは海外の仕事相手だけではなく、日本人同士のやり取りでも同じことが言えます。しかし海外のカウンターパートに与える影響は、他の日本人に与える影響よりも格段に大きくなってしまうことを理解しておく必要があります。

 

どうしても約束した期日に間に合いそうもないときは、その旨を事前に相手に伝えることで、こうしたネガティブな影響をポジティブな影響に変えることができます。もし返答する前に上司の承認が必要なのだけど、上司が急な出張に出てしまって承認してもらえてないことが理由であるならば、下の内容の情報を伝えることで問題が生じることを防ぐことができます。

 

  (例文2:遅延の理由説明)

 

   Dear XXXX-san,

 

   This is to let you know that the information I promised to send

   you by this Wednesday will be delayed a bit. I have the   

   information ready, but I have not been able to receive an

   approval from my boss yet. She is currently out of office

   because of urgent business matters. She will be back on

   Thursday. I will send the information to you as soon as I receive

   an approval from her.

 

   I am sorry for the inconvenience this may cause you. If you

   have any questions, please let me know.

 

   Best regards,

   YYYY

 

 こうした連絡を期日前にすることで、上に記載した内容以外に、あなたは約束をちゃんと覚えていることを相手に伝えるのと同時に、相手の要望に沿うべくとるべきアクションをとっていることも伝えることができます。相手にとって、期限通りに約束した情報が得られないのは決して良いことではありませんが、これによって海外のパートナーのあなたに対する安心感は高まります。

  

 また、自分の上司が急に出張しなければならなくなることは、どこの国においてもよくあることです。こうしたちょっとした内部事情を伝えることで、「自分の周りでよく起こることが、日本のパートナーにも同じように起こっている」ことに気付かせ、親近感を持ってもらうきっかけを作ることもできます。こうした気配りのコミュニケーションは、ネガティブな影響を及ぼしかねない状況を、ポジティブなものにすることが可能になる場合もあります。

 

 

 

<<前に戻る               次に進む>>

 

  

                サイトの利用条件    個人情報の扱いについて