第1章 はじめに 【2/4】

ビジネスの国際化の動向と英語スキルアップの必然性について

    

  3.  BRIC'sやNext 11 などの新興国の経済は、これからも低コ

    スと規制の少ないビジネス環境を武器に発展していく。今

    後のビジネスの成長は、新興国との間でどれだけ活動を発

    展できるかが大きく影響する。

 

  4.  ソーシャル・ネットワーキング・サービスなどの新しい情報

    通信ビジネスや、環境ビジネスを代表とする既存のビジネ

    ス体系に大きく依存しない新規ビジネスは、今後も大きく発

    展する。これまで存在しなかった産業が大きな市場を構築

    する。

 

 

 上の4つのポイントから言えるのは、我々を取り巻く現在の経済環境は、その体系や勢力図も含め、大きく変化している状況にあるということです。そしてこれから先、ビジネスを継続的に成長させていくには、事業の「国際化」は「選択」から「必然」へと変化していることも証明しています。別の言い方をすると、事業の国際化は今後の日本のビジネスにとって、成長や存続のためには必ず進めなければならないアクションとなったということになります。 

 

 1950年代半ばから始まった高度経済成長期から1980年代のバブル経済が崩壊するまでは、日本の経済環境はこれとは全く異なっていました。人口が増え続け、国内の市場規模が年々拡大する環境では、国内市場でのビジネスの拡大に注力することが得策です。また政府が行った、規制の網を張り巡らし国内企業を海外ビジネスから保護する政策も、間違っていませんでした。この結果高い品質の製品を低価格で提供できる仕組みを築いた日本産業は、絵にかいたような売り手市場を構築することもできました。しかし現在の経済情勢は、上にお伝えしました通り、こうした方針や政策が全く当てはまらない状況になっています。

 

 「国際化」の必要性が訴えられるようになったのは今に始まったことではなく、20年以上前から言われていました。そして現在も同じことが言われ続けているのは、これまでの流れに大きな変化が見られなかったからです。「国際化」を進めていくことが、20年前も現在も日本経済が生き残るための鍵であり続けているのです。20年前と現在の状況の違いは、「国際化」を進めなければならない緊急度合いにあります。

 

 先ほども国内情勢のキーワードのところでお伝えしましたが、間もなく日本の国債の発行高が国内の民間が保有する金融資産を追い越してしまうことになります。民間が保有する金融資産を日本の貯金として考えますと、高度経済成長期から日本が蓄えてきた貯金は、20年前はまだ幾分余裕がありました。しかし今は、この貯金が間もなく底をついてしまう状況にあるのです。貯金がなくなれば信用は落ちますし、生活のやりくりが難しくなるのは、個人でも企業でも、そして国でも同じことです。

 

 このような悪い状況から脱却し、行き詰りつつある経済の流れを成長の方向に変えるには、既に機能しなくなっている「国内オンリー型」の成長路線を変更する以外ない情勢になっています。 事業や経済の「国際化」を促進することが、まさに今緊急の課題になっているのです。

 

 なぜ今もなお、「国際化」や「グローバリゼーション」という言葉が色あせることなく我々の日常生活の中に存在しているか、よく分かりますね。

 

 

1.2. 「国際化」と仕事英語の関係

 

 日本全体の急務であるビジネスの「国際化」と、この本のテーマである「仕事英語を身につける」ことのつながりについては、詳しく説明する必要はないでしょう。

 

 ビジネスの「国際化」は、日本人以外の企業や人々と仕事を進めることを意味します。そういう環境では、ビジネスの国際語である英語を使うことが求められるのは言うまでもありません。もちろん通訳を使い、日本語だけで海外事業を行うことも不可能ではありません。しかしそのような業務体制では効率が悪くなるだけでなく、コストも高くなり、事業を「国際化」するメリットがなくなってしまいます。「国際化」と「仕事英語を身につける」ことは、切っても切れない関係にあるのです。

 

 楽天やユニクロが社内の公用語を英語にした(または近い将来する)というニュースや、韓国大手企業のサムソンではTOEICのスコアが900点以上ないと採用されないというニュースは、世間で話題になりました。こういったニュースは、今はまだ特別な例の紹介として位置付けかもしれません。しかし日本のビジネス界では、会社で働く人たちが英語で仕事を進められるようになることや、英語能力を高めることを必要としているのは間違いない事実です。

 

 1.1で検討した現在の経済情勢を踏まえ、ビジネスの「国際化」を海外の市場への進出する観点で見ると、これからは先進国だけでなく、昨今成長著しい新興国にも展開することが必要となることが分かります。反対に、ビジネスの「国際化」を(規制緩和などで可能になる)日本の国内市場の「国際化」として捉えると、日本に参入してくる海外の企業と上手く連携することにより、日本の企業に新たなビジネスチャンスが生まれることも分かります。

 

 英語によるビジネスコミュニケーションスキルを構築することが、ビジネスの「国際化」に、そしてこれからの仕事環境において、どれだけ重要になるかがよく分かります。

 

   

 

<< 前に戻る               次に進む>>

 

  

               サイトの利用条件    個人情報の扱いについて