第9章 他の手段:心構えが変える 【5/5】

少し違ったアプローチで、仕事英語を考える

 

 英語を使った情報交換は、英語の情報を作成したり解読したりすることが当然必要となりますので、英語を技術的に理解し活用できるようにすること、そしてこうした技術的なの理解度を深めていくことは大変重要です。これは動かしようのない事実でし、多くの人がその重要性を理解しているのではないかと思います。

 

 英語を使ってコミュニケーションをとる相手は、その人の母国語や文化・習慣が自分のものと異なる人です。(そうでなければ、その人とは日本語で話ができることになるので、英語を使う必要はないことになります。)文化や習慣が異なる人に伝えるべき情報を間違いなく伝えることが大変難しいタスクであるのは、この本をここまで読んで頂いた方は、既によくお分かりのことだと思います。

 

 英語の技術的な理解度を高めていく重要性が動かしようのない事実であるように、文化や習慣が異なる人々とコミュニケーションをとるときのノウハウに対する理解を深めることが大切であることも、同様に動かしようのない事実なのです。

 

 例えば、完璧な英語だけど、自分と同じ日本人と情報交換するスタイルで作成した英語の文章(「日本語英語の障害」がある文章)と、文法的な間違いがあったり、正しくない単語を使用したりしているけれど、情報を伝える相手の文化や習慣をよく配慮した上で作成した英語の文章があるとします。この二つ、どちらのほうが伝えるべき情報が相手に伝わると思いますか? もちろんその答えは実際にこれらの文章を見てみなければ判断はできません。しかし、もし仮に何も見ないでどちらかに賭けることになったなら、みなさんはどちらを選びますか? 後者を選んだ方は、決して少なくないのではないでしょうか。

 

 異文化間のコミュニケーションのあり方を理解する必要性につきましては、英語の技術的な部分の理解を深める必要性と比べ、認知度が低いのが日本での現状です。また、このようなコミュニケーションスキルのレベルアップを支援するツールや教材もあまり世の中に出回っていません。このような背景もあることから、この章では「技術」よりも「心構え」のほうに重点を置いてご紹介することにしました。「文化の壁」や「外国英語の障害」がもたらす問題は、ビジネスを進めていく上で、大変大きなものになり得るということを、ここでもう一度認識して頂ければ幸いです。

 

 

 

 英語の技術的な知識を「Hard Skill」とするならば、異文化間のコミュニケーションにおけるスキルは「Soft Skill」ということになるでしょうか。英語を使ったビジネスコミュニケーションを上達させるには、この2種類のスキルを両立させることが重要です。「Hard Skill」だけを一生懸命磨いても、仕事は上手く進展具合はそれほど変わりません。また、「Soft Skill」の知識だけを深めたところで、やはり仕事はなかなか前に進まないでしょう。

 

 この2種類のスキルをバランスよく身につけていくことが「仕事英語を身につける」極意、ということになるでしょうか。

 

 

 

 

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