第7章 仕事英語を身につける 2 【1/6】

伝えられた情報を確実に理解する手段

 

7.1. 情報の伝えられ方はコントロールできない

 

 海外のカウンターパートに情報を伝える作業は、情報を発信する人、つまりあなたが相手に間違いなく伝わるような情報を作成することで、コミュニケーションを円滑に進めることができます。前章では情報作成の際に使える手段や心構えをや、気を付けるべきポイントなどについて紹介しました。6つのルールやシナリオ作りを含めた事前準備の手だてなど、自分が発信する情報の精度を上げるためにできることは色々あります。

 

 こちらから相手に送る・発信する情報については、自分が伝わり具合を事前にコントロールすることができるから、こうした手段が存在します。しかしこれとは反対に、海外の仕事相手から送られてくる情報については、受け取る側、つまりあなたはその内容について事前にコントロールすることはできません。

 

 これはある意味、当然と言えるでしょう。情報を伝えられる側が、伝えられる前に自分が理解しやすいように構成することはありえない行為です。もしそれができてしまう状況が存在するならば、受け取る側が送られてくる情報の内容を予め知っていなければなりません。お互いに知っている情報ですので、これは最初から伝える必要がない情報ということになります。

 

 海外のカウンターパートから伝えられる情報も、その伝えられ方についても、それを受けるあなたはコントロールできないという事実は変えられません。しかし、相手からの情報の理解度を上げるために、何かできることはないでしょうか。仕事をスムースに進展させていくには、こちらから伝える情報が間違いなく伝わるだけでなく、相手から伝えられる情報も間違いなく理解しなければなりません。相手から伝えられる情報をよく理解しないまま事を進めると、認識のギャップが生じることで問題が発生し、仕事が進展するどころか、後退してしまう状況に陥ってしまうことになりかねません。

 

 もしあなたの海外のカウンターパートが前章でご紹介した内容に基づいて情報を伝えるくれる人であれば、伝えられる情報を理解することについて心配する必要はないでしょう。しかし、そういうケースは稀であると考えたほうがよいですし、相手にそれを望むのもやはり現実的ではないでしょう。この章では、海外のカウンターパートから受け取った情報を、間違いなく理解する方法・手段について考えていきます。

 

 

7.2. 思い込みは命取り

 

 第3章でお伝えしました通り、英語を使ったコミュニケーションには「ネイティブ英語の障害」や「外国英語の障害」が常に存在しており、英語の情報を理解することを妨げる原因を作っています。従って、自分や相手の英語の語学レベルがどうであれ、英語の情報を理解することは簡単ではないと常に認識しておく必要があります。

   

 海外のカウンターパートから伝えられた情報が、今一つはっきりしない、または100パーセント理解できない部分がある時、どのようにしてこの問題を解決したらよいでしょうか。

 

 一番やってはいけないのはそれを自分で解釈し、理解・納得しようとすることです。確かに自分一人で解釈してしまえば効率よく仕事が進むように思われるかもしれませんが、それに誤りがないとする根拠はどこにもありません。もし間違っていた場合、リカバリーに要する労力と時間は大きなものになってしまいます。「思い込みは命取り」になりかねません。分からないことを「理解する」ことと自分流に「解釈する」ことは、大きな違いがあります。

 

 自分の解釈が信用できないのであれば、誰かに聞いてみるしか他に方法がありません。一番身近なところでは、自分の職場にいる同僚や上司に相談する手段があると思います。自分だけで解釈してしまうよりも、はるかによいことでしょうが、そうすることによって得られる解釈はあくまでも「best guess」であって、事実ではない(つまり間違いは起こり得る)ことを頭の片隅にとどめておくことが必要です。仕事を進展させていく上で、大きな影響がない事柄については、自分の周りにいる人たちの意見を聞いて、総合的に判断してもよいかもしれません。繰り返しますが、このプロセスで得られる情報は、あくまでも「best guess」でしかありません。

 

 こうして考えてみますと、事実を知る上で誰に確認するのがいちばん正確かが分かります。理解できなかったことについて間違いなく解釈することができる人は、情報の発信元、つまり最初に情報を伝えた本人しかいません。この人にもう一度理解できる形で教えてもらうことが最善の策になります。情報の発信元にその人が既に構成し、発信した情報の解釈をしてもらうわけですから、これで得られるインプットは100パーセント信頼できると言ってよいでしょう。

 

 これで誰に聞けばよいかは明確になりましたが、質問する相手が情報を発信した本人となると、聞き方に注意しならければならなりません。どういうことかと言いますと、相手に対し、しっかりとした気配りをすることを忘れてはならないということです。情報を伝えてくれた人は、そもそもあなたに分かってもらうために情報を発信しているのです。情報を送った相手から、

 

  「あなたの言っていることがよく分からないから、もう一度伝えてくだ

  さい。」

 

 

  

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