破滅の前に映る風景

皆さんの周りには、自分が言うことや主張することに対し、面と向かって(陰口や間接的にではなく)意見する人がいますか?自分が所属する会社や組織は、公の場で異を唱える人やそうした行為に対して寛容であり、聞く耳を持つ環境になっていますか?また、少しでも本来進むべき本道から逸れそうになったら、それをガミガミと指摘する存在がいますか?もし、周りにそうした存在がいないとしたら、今の環境の未来は明るくないかもしれません。

 

もちろん、唱えられる反対意見は個人の利益のためではなく、全体の利益を考えた建設的なものでなければならないのは言うまでもありません。今回のブログは、「…いやいや、我々は志を共にした同志の集まりだから…」というような、ある種の「結束感のある」環境いる状態が特に危険だという事例をご紹介します。

 

最近この「破滅の前に映る風景」に直面した世界で最も有名な人は、アメリカ大統領選挙に共和党から立候補し、現職のオバマ大統領に敗れたミット・ロムニー氏ではないでしょうか。大統領選では、ロムニー氏が率いる共和党は、勝敗の行方を左右する「スウィング・ステイト」(Swing States12州において、1つの州以外は全てオバマ大統領率いる民主党に敗れました。民主党の完勝といってもよい結果となりました。選挙前にメディア等が行った調査では、もっと接戦となると予想していましたが、やはりオバマ大統領が有利との意見が大半を占めていました。

 

            天下分け目の…! ではないですが
            天下分け目の…! ではないですが

 

では当のロムニー氏はどうだったかというと、選挙結果が公表されるまで自分が勝つと信じ切っていたそうです。自分が負けるなどとはひとかけらも思っておらず、選挙当日に投票結果が次々に明らかになっても、なかなか負けを認めるスピーチをしなかったのは有名な話です。

 

なぜここまで自分の認識と現実との間にギャップが生じてしまったのでしょうか?最近その理由が明らかになりました。ロムニー氏の周りには、そして共和党のブレインたちの間では、冒頭でお伝えした「面と向かって異を唱える」環境が見事なほどに欠落していました。長年共和党のブレインとして活躍したブルース・バートレット氏(Bruce Bartlett)が書いた記事を読みますと、いかに事が深刻だったかがよく分かります。(英文オリジナルはこちら

 

   ・世論調査は自分たちが行った物しか、尊重しない。→ 意見の「偏り」に対し鈍感になる。

   ・共和党の政策に批判的なメディア、見解は見ない。→ 「敵」の考え、行動に無頓着。

   ・異を唱えるメンバーは、排除する。 → 閉鎖的、排他的特性が強まる。などなど

 

記事を読むと、このような「組織病」が時間をかけて蔓延していく様子が、よく分かります。気づいた時にはもう手遅れです。共和党が再び国民の支持を得られるように立て直すには、相当時間がかかるとも言っています。

 

こういう類の話は、歴史を辿ればロムニー氏や共和党と同じように「破滅の前の風景」を見て、そしてその道を進んでいった人、組織、国の例は世界中にたくさんあります。また反対に、その道を進まないよう懸命に努力した人も、やはり存在します。

 

我々が最もよく知るところでは、徳川家康はその道を進まなかった典型的な例ではないでしょうか。評議の場では、家来と唾を飛ばし罵り合いながら議論し(またそういう環境を保ち)、最も信頼すべき側近にはかつて自分を裏切った本多正信を置き、晩年には駿府にて江戸にいる将軍が好き勝手できないよう「目の上のたんこぶ」であり続けたなど、このようなエピソードには事欠きません。

 

面と向かって異を唱える存在は、「調和を乱す」異物のような存在なのか、それとも自分の、組織の健全性を保ってくれる存在なのか…。判断の仕方は様々あるかもしれませんが、全てを前者として扱った際、その後に見えてくる「風景」は…、上にお伝えした通りです。

 

また最近は、そもそもしっかりと「異を唱える」ことができる存在が少なくなっているのも事実ではないかと思いますが、どう思いますか?

 

(おわり)

 

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