効率化の罠(その2)

先日のブログで、仕事の効率化を進め、その結果ある程度の効果を出しても業績が一向に好転しない状況を「効率化の罠」と命名しご紹介しました。今回は「効率化の罠」を別の角度で説明すると同時に、この罠から抜け出すために何ができるかについても考えていきたいと思います。

 

まず、「効率化の罠」について… 

 

下の図は「効率化の罠」に陥るとは、どういう状態なのかを示したものです。X軸には時間が、そしてY軸にはある商品のコストが示されています。コストについては、商品1ユニットあたりの直接費用と間接費用の両方を合わせたものと考えてください。青い線は該当する商品が市場において競合力を保つために必要なコストレベルが示されています。時間が経つにつれてコストが低くなる下降線ですが、なだらかな線と急降下する線の2種類があることに注目してください。

 

 

なだらかなコスト削減ラインは、日々の業務における効率化のための活動の結果、達成できる削減を表しています。その一方で急降下する線は、新しい技術の導入、物流網の発展・拡充、外部委託による効率化など、世界のビジネス・市場環境全体で起こる変化に上手く順応することによって得られるコスト削減の度合いを表しています。

 

繰り返しますが、青い線は提供する商品が価格面で競争力を保つために必要なライン、コスト・リーダーのラインです。では赤い線は何かといいますと、「効率化の罠」に陥ってしまった企業の商品のコストラインを示しています。ビジネス・市場環境の変化に順応できなかった(つまり、急降下する線に乗れなかった)ため、コスト・リーダーとの間にギャップが生じてしまっています。こうなってしまっては、商品の競争力は低下する一方です。日々効率化のための活動には一生懸命取り組んでいるのにも関わらず、です。(まさに石川啄木の「働けど働けど、なお我が暮らし楽にならざり、じっと手を見る」という状況です。)

 

現在、日本の多くの企業が上で説明しました「効率化の罠」に近い状態に陥っています。その最大の理由は、他国の競争相手のようにビジネスをグローバル化することによって得られる恩恵をフルに得られていないからと言ってよいでしょう。つまり上の図が示す青い線(コスト・リーダー)と赤い線(多くの日本企業)のギャップは、グローバル化という変化(急降下する線)に日本企業が上手く乗ることができないでいるから生じているということになります。

 

こう書きますと、「グローバル化=外部委託によるコスト削減」、と思われてしまうかもしれませんが、決してそれだけではありません。また、海外に進出することによって対象となる市場を拡大することだけでもありません。この他の要因としては、国際間のビジネスネットワークの拡充によって得られる情報の差(スピード、質、量)もあるでしょうし、様々な国の人々がメンバーだからこそ創出されるアイディアやイノベーションもあるでしょう。また、こうしたメンバーで構成されている組織だから成り立つ作業プロセスの簡略化といったものもあります。

 

情報技術の発展により、現在では世界中どこでも、誰でもこうしたビジネスのグローバル化による恩恵が得られる環境になっています。しかし日本の多くの企業がこの取り組みに問題を抱えており、結果として「効率化の罠」にはまってしまっているのが現状です。日本のビジネスは独自の「系列」や「グループ会社」の存在にも代表されるように、伝統的に「内々のメンバー」によるタイトなネットワークを構築することによってコスト・リーダーの地位を保ってきました。ところがビジネスのグローバル化で得られる恩恵は、「よそ者」を多く取り込みながら全く反対の活動を展開する必要がある訳ですから、問題を抱える企業が多いのはむしろ当たり前といえるかもしれません。

 

ということで、結局今回は「効率化の罠」の説明のみになってしまいました。次回はこの罠から抜け出す手段について、考えてみたいと思います。

 

(次回につづく)

 

 

(Part 1) (Part 2) (Part 3)

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