効率化の罠

一般的にビジネスおいて仕事を効率化させるとは、仕事の流れのムダを省き、より短い時間で、より少ないコストで、より多くのアウトプットを、品質を落とすことなく出せるようにすることをいいます。(アウトプットはビジネスに付加価値を与える事柄であれば、生産する部品や製品等の「モノ」や、アイディアや構想といった形に残らないものもその対象となります。)

 

効率化の最大の目的は、自社の競争力を高める(業績を向上させる)ことです。仕事の効率化を進める重要性については、日本では昔から幅広く認知されてきました。1950年代から1990年代前半までの経済成長を支え、日本が世界の経済大国にまでになるに至った背景には、日本の多くの企業が地道な効率化の試みを継続していたからと言っても過言ではないでしょう。トヨタ自動車の「カイゼン」や「カンバン方式」、そして「Just-In-Time」といった合理化のための手法が世界中に大きなインパクトを与えたのはあまりにも有名な話です。

 

当然のことながら、日本のどの企業も1990年代以降も変わることなく、効率化のための試みは行われ続けています。しかし一時期に比べると、活動の最大の目的である競争力を高め業績を向上させることに成功している企業が著しく少なくなっているのも事実です。なぜでしょうか。

 

 

   物理的な距離との挑戦はこれからも続くでしょう
   物理的な距離との挑戦はこれからも続くでしょう

 

この理由を一言で言えば、グローバル化の深化となるでしょう。情報通信技術の発展と物流網の拡充により、これまで非効率としか考えられなかった「物理的な距離の壁」が一気に取り払われました。この結果、これまでの常識が覆され、効率化を進めるために必要な要素は、地理的な条件に関係なく、どこでも見つけられる時代に変わりました。

 

このような変化が起こる前の数十年の間、国内集中型で効率化の道を着実に歩んできた多くの日本企業にとって、この新しい時代の流れは、自らが進む方向を根本的に見直すことを迫るものでした。海外に目を向け、グローバル化の流れを見方につけるには、当然これまで必要でなかったスキルやノウハウを身につけなければなりません。多くの企業が戸惑い、そして現在に至っても戸惑い続けているのも理解できます。それと同時に、多くの日本企業の競争力が低下し、業績が振るわなくなってしまった現状も、やはり同様に理解できます。

 

ところで、今回のブログのタイトルの「効率化の罠」ですが…。 

 

仕事の効率化を進める上で、進捗度合いを可視化する手段としてよく使われるのが、改善策の導入前と導入後を比較する方法です。例えば、施策Aを導入することにより、作業効率が導入前と比べ20%向上しました、と伝えられると、ほ~、凄いな、となる訳ですが、本当にこれは凄い事なのでしょうか。

 

上の例で20%の向上が「凄い」となるのは、施策Aを導入する前の作業効率が業界において既に世界のトップクラスである場合のみです。それ以外の場合では、あまり意味がありません。いくら20%向上しても、それがどれだけの効果をもたらすものなのか分からないからです。

 

いくら仕事の効率化を進めても、結果として競争力も業績もあまり向上しない状態が、「効率化の罠」に囚われた状態です。ビジネスのグローバル化が進めば進むほど、「効率化の罠」は誰にとっても身近な存在になります。そんな時代だからこそ、効率化の評価基準を自社レベルだけでなく、世界基準で見て評価する「目」を持つことが、これからますます重要となります。

 

 

(おわり)

 

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