楽天の社内公用語を英語にする取り組みは、以前から全国的に注目されているトピックです。(本日の朝日新聞の朝刊にも記事があります。)多くの人から注目されているということは、ポジティブな反応もあれば、ネガティブな意見もあるものです。中にはこれは単なるパフォーマンスで何の効力もない。更には、日本人同士が英語で喋ったところで、それは馴れ合いでしかない、といった類の意見も目にしたことがあります。
私自身も、100%英語にする必要性がどこまであるのか疑問を感じていました。しかし今回の話を聞き、必要性はどうであれ、楽天は、少なくとも楽天の上層部は本気で「英語化」しようとしていることが分かりました。やはり、百聞は一見にしかず、ですね。
私が特にこの人たちは本気だ、と感じたのは、これまでの取り組みについての説明ではなく、これからの課題についての話題になった時です。その話は、大体こんな内容でした。
✓ これまでは、社員のTOEICの点数を英語化の進捗度合いを判断する基準にしていた
✓ 確かにこの2年間の取り組みで、全体的にスコアは上がり、ある程度の成果は出た
✓ しかし実際には、TOEICで600点以上取っても、本当に英語のビジネスコミュニケーションを行うことはできない
✓ もっと言えば、たとえ900点取ったとしても、きつい
✓ これからの課題の一つは、テストの点数ではなく、本当の意味で英語のビジネスコミュニケーションができるように、社員のレベルを引き上げていく方法を見つけていくこと
もし、この取り組みがただのパフォーマンスであれば、こんな話はしないはずです。パフォーマンスであれば、日本では非常に認知度の高いTOEICをずっと基準にして、必要に応じ平均点の進捗を公にしていく方が、効果があるでしょう。しかしそうしない、しかも本当のビジネスコミュニケーションとTOEICの点数との関係(つまり、関連性がないということ)を公の場で言うというのは、やはり本気でなければできないと思いました。
(次回に続く)
<追記>
TOEICの点数と英語のビジネスコミュニケーションができることの関連はないと言いましたが、私はそれを自身の経験によって知りました。
今から何十年も前、最初に務めた会社での新入社員研修で、TOEICテストを受けました。結果は990点でした。社会人1年生で、ビジネスについて右も左も分からない人間がそんな点数をとれたのです。 この経験で高い点数を取ったからと言って、それがすぐにビジネスに結びつくわけではないことが分かりました。
(私の場合、このテストを受けた時は、アメリカの高校と大学を卒業した後で、英語は人一倍勉強し、使えるようになっていました。 ただ、それだけです。 )