第1章 はじめに 【3/4】

ビジネスの国際化の動向と英語スキルアップの必然性について

 

1.3. 現在の日本人の英語力について

 

 ビジネスの「グローバリゼーション」を進める必然性、そしてビジネスにおける英語スキルの重要性は、多くの人々が20年前も、そして現在も共有し続けていることです。このような背景があり、我々日本人の英語に対する関心が高いのであれば、今の日本人の英語スキルは20年前と比べ、格段に進歩していると仮定するのが当然です。しかし、実際はそうでもなさそうなのです。

 

 TOEIC(Test of English for International Communication)の点数に関するデータを見る限り、日本人の英語能力は20年前はおろか、TOEICが実施され始めた1979年以来、ほとんど変わっていません。

 

 TOEICは、財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する英語能力検定試験の代名詞的な検定試験です。読者の中にもこのテストを受けたことがある方は、少なくないのではないでしょうか。

 

 このテストの成績と英語を使う仕事のパフォーマンスを直接結び付けることに関しては、常に議論を呼ぶところです。なぜなら英語を使う仕事で成果を上げる人は、TOEICの点数が高い人だけとは必ずしも言い切れないからです。しかしその一方で、日本人の英語の語学知識や能力の推移を見る上では、TOEICのスコアに関連したデータは大変有効な判断基準の1つであることは間違いありません。

 

 TOEICのスコアに関するデータや資料については、TOEICの公式ホームページ(http://www.toeic.or.jp/) で見ることができます。その中で1979年から行われている公開テストの平均スコアの推移を見ると、驚くべき傾向を目にすることができます。なんと1979年から現在までの30年以上の間、平均スコアにほとんど変化が見られないのです。多少のばらつきはありますが、大体550点の付近で硬直した状態になっています(「TOEIC Newsletter」June 2009 No.105 19ページ参照)。これほどまでに英語スキルの向上に対して関心がもたれ続けているにも関わらず、TOEICの平均スコアを見る限り、我々日本人の英語の語学力が進歩している形跡が全くと言っていいほど見られないのです。 (TOEICのスコアの目安については諸説ありますが、大体800点くらいが国際レベルで仕事が行えるレベルとされています。)

 

 先ほども考えましたように、今後の日本経済を発展させていくには、ビジネスの「国際化」が必要不可欠です。「国際化」を進めるには、ビジネスにおいて共通語として使われている英語のスキルが高くなければなりません。しかしTOEICのスコアを見る限り、我々日本人の英語の語学力はほとんど進歩することなく今日に至っています。ここに大きなギャップと言いますか、ジレンマがあることは、ご理解頂けるのではないかと思います。

 

 

1.4. 「仕事英語を身につける」を書く理由について

 

 切迫している「国際化」の必要性と、現状の英語レベルとの間で生じているギャップを埋めるには、どうしたらよいでしょうか。

 

 長期的な対策としては、今の英語教育の在り方を根本的に見直すことを含め、日本人の英語レベルの底上げ手段を構築し、展開していくことが考えられます。 しかしそれだけでは不十分なのは、明白です。なぜなら1.1でご紹介した経済情勢は現在のもので、これから何年か先に起こるものではないからです。ギャップを埋めるのは何年か先ではなく、今それを行わなければなりません。

 

 今必要なのは、一人でも多くの日本のビジネスマン・ビジネスウーマンが、「国際化」を効果的に進められるようになるための手段です。この本の目的は、仕事において海外の企業や人たちを相手に行う英語のコミュニケーションの質と効率を上げる手段や知識を紹介することです。ここで紹介する内容が、毎日の仕事で英語のビジネスコミュニケーションと向き合っている方々の役に立てばよいと思います。また、今はまだ海外を相手にした仕事に携わってないけれど、近い将来そうなる方々についても、その時に備えこの本を役立てて頂ければよいと思います。

 

 日本には素晴らしい企業がたくさんあります。まだ海外に展開していない企業の中にも、日本国内だけでなく、世界の人々の暮らしをより豊かにできる製品やサービスを提供している会社が山ほどあります。また、海外にも日本の人々の暮らしをもっと豊かにできる製品やサービスを提供している会社がたくさんあります。

  

 ビジネスの世界ですから、こうした製品やサービスがあるだけでは成功することにはならないかもしれません。しかし、英語のコミュニケーションが上手くいかないことが原因で、海外への進出や海外の企業との連携が進められないのであれば、それはあまりにもったいないことです。扱っている製品やサービスのポテンシャルを世界レベルで発揮させてこそ、本当の意味でビジネスを成功させたことになるのではないでしょうか。

 

 この本がきっかけとなり、新たに海外への進出事業や提携事業をスタートさせる企業が出てくることになればよいと思っています。そしてその結果、私たちの経済の活性化や発展に少しでも貢献できたらよいと思っています。

    

  

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